バタフライ・エフェクト (2004 アメリカ)
北京の蝶の羽ばたきが、地球を巡ってニューヨークで大嵐を巻き起こす。
それをバタフライ効果、バタフライ・エフェクトと言います。
複雑系が流行ったころによく持ち出された比喩ですね。
それとはあまり関係のない、タイムスリップ物のSFムービーです。
多少サスペンスの要素が混じった娯楽映画になっています。
主人公の男は子供のころにたびたび記憶を失う症状を患っていました。原因はよく解りませんが、精神病院に収容されている父親と同じで、母は遺伝を疑っています。記憶が欠落している間に何か重大な事が起きているようなのですが、本人にはそれが何だか判りません。大学生になったころ、昔の記憶が徐々に戻りはじめ、正確さをたしかめに幼馴染の女の子に会いに行くのですが、その思い出は女の子にとってひどくつらい出来事だったらしく、みずから命を絶ってしまいます。失意のどん底で昔の日記を読み返していると、景色がぼやけ、気が付くと過去のあの頃にタイムスリップしていたのでした。
監督はエリック・ブレスとJ・マッキー・グルーバーのコンビ。
主演はアシュトン・カッチャーです。
娯楽作品としてじゅうぶんに楽しめました。
ぜんぜん聞いたことのない映画ですが、続編が二本作られているようです。
人生は玉の突き合い、転がし合い、誰かが隣の椅子を取ったなら、取られた相手は他の誰かの椅子を取り、そのまた取られたその人が、というふうに、人生何かを変えれば別の何かも変わってしまうものなのね・・・という、つまらない説教はさておいて、鑑賞する我われとしては、変えては生まれる未来の数々を固唾を飲んで見守っていればいいわけです。
主人公の身の上、とりまく友人たちの浮き沈み、キャストの演じ分けも見ていて楽しいですね。
記憶の欠落の原因や、共通性についての掘り下げがまったくなく、物語としてはかなり無防備ですが、まあ、そこは娯楽ですから、リアリティよりもシチュエーションを愉しみましょう。
続編もぜひ観てみたいですね。
あと主役の俳優は16歳上のデミ・ムーアと結婚してます。
やじきた道中 てれすこ (2007 日本)
十返舎一九の「東海道中道中膝栗毛」の翻案ですね。
読んだことはなくても「弥次さん喜多さんの珍道中」と言えばなんとなく想像はつくかと思います。
妻子に先立たれ遊郭通いに入れあげる弥次さんと、ヘマばかりの歌舞伎役者喜多さんが、花魁の足抜けを手伝います。初めは花魁の老父が死の床に就いていて、ひと目合わせるために沼津まで行くはずだったのですが、どうやらそれは花魁の嘘、とうが立って遊女の暮らしに実入りがなく、田舎へ帰りたいだけだったようです。そうとは知らず三人で、遊郭の用心棒の追跡を振り切って、一路東海道を西へと下ります。
監督は平山秀幸、脚本は安倍照雄。
出演は中村勘三郎、柄本明、小泉今日子ほかです。
弥次さんと喜多さんという名前以外、膝栗毛とは何の関係もありませんでした。
「てれすこ」は近代の落語の演目で、当然江戸時代の洒落本とはまったく繋がりはないです。
ひと言で言い切ってしまうと、だらだらとつまらない映画です。
キャストは脇役に至るまで無駄に豪華ですが、質の低さを役者の名前で補っている意図が見え透いています。
随所に落語ネタがちりばめられているだけあって、台詞回しも落語の語り口そのものですが、間に小泉今日子が混じると、とたんにその質が落ちてしまうのが困り物です。また江戸文化にある程度知識がないと分かりにくい言葉が多く、決して万人うけする喜劇映画ではありませんでした。
ストーリーに複線もどんでん返しもなく、時間の経過とともにただただエピソードが後ろへと流れていきます。
「てれすこ」との脈絡も弱く、最後は道中が大井川で切れるのですから中途半端もいいところです。
奈緒子 (2008 日本)
ビッグコミックスピリッツで連載されていた駅伝漫画の実写化ですね。
完結からかなり間を置いて映像化されました。
奈緒子はこの映画のヒロインです。喘息治療のために長崎の波切島にやって来ましたが、船の上から海へ投げ出されてしまったときに、救助しようとした船長が波に呑まれて帰らぬ人となってしまいます。その息子が主人公で、高校生になってからトラック界の天才ランナーと呼ばれる存在になっていました。そんな彼が陸上大会で、あの事故以来久しぶりに少女と再会します。お互い過去のことを気にかけて、苦い空気が漂います。動機はよく解りませんが、少女がなにやら一大決心をして少年の高校に転向し、陸上部のマネージャーになります。部は長崎県の高校駅伝予選に向け、地獄の夏合宿に入ろうとしていました。
監督は古厩智之です。
出演は三浦春馬、上野樹里、笑福亭鶴瓶ほかです。
駄作です。
断言していいと思います。
原作は九年に亙って連載された長編漫画です。
そこから一部分だけ抜き出し、かつ人物の設定まで変更して映画にしています。
長崎県が舞台なのに、監督が関西弁で、生徒は全員東京弁です。
まあそこは一歩譲って、下手な長崎弁を聞かされるよりかはいいとしましょう。
漫画を読んでいるわけではありませんので確たることは言えませんが、印象的な台詞やシーンだけを矢継ぎ早に繋ぎ合わせただけのような感じがします。決め台詞を効果的に吐かせるためには必ず複線がなくては駄目で、時にそれは冗漫であることを覚悟してでも叙述していく根気が必要となります。それを怠ると、すべてがただ単に思わせぶりな仕草に劣化してしまうのです。
この映画にはそういう複線が貧弱です。
ですから決め台詞直前の切り返しでハッとさせるものが何もないのです。
内容はさておき、この映画で初めて上野樹里を見ました。
小ぶりながら引き締まった、なかなかいいおっぱいをしてるじゃないですか!
走るシーンが多くて、そこばっかり見ていました。
ええ、見ていましたとも。
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